堀良慶(以下堀) この間NHKが日曜美術館でこの館を撮ってくれたのですよ。なんで撮りにきたのかとびっくりしていたのですが、個人の自宅を美術館にしていることではなくて、当館の展覧会野田哲也展の野田哲也の作品を撮りにきたのです。うれしかったですね〜。
田中千秋(千秋)普段はどのくらいの来館者がいらっしゃいますか?
堀 本当に絵が好きな人に足を運んで頂きたいので、当館は完全な予約制にしています。大体に月に30名から50名。良い企画の時は100名ぐらいですね。
千秋 相当いらっしゃっていると考えてもいいですよね。
堀 利益を生もうと思えば喫茶ルームやレストランをもうけて利益を生む事ができますが、そういう事をしたいのではなくて、自己実現の為にここから全国に発信したいという事と、自分の持っている絵を皆にみてもらいたいのです。心の癒し、絵を見る喜びを皆様に伝えたいという気持ちでやっております。経営の利益の事を心に入れ始めると、サラリーマンとして経済活動をやっていてもういやだと思った事の繰り返しになってしまうので利は追わないでおこう、社会へのお返しとしてやっております。
千秋 なるほど。このはじめられたのはいつですか?
堀 1999年の12月31日で会社をやめて、2000年の1月からフリーの立場でやっていきたいと昔から思った事が実現して2000年11月1日に開館しました。
千秋 そうだったのですね。以前は技術者だったとお聞きしたんですが?
堀 最初は技術者だったのですが、だんだん頭が固くなると同時に、営業や企画の本社の方で20年30年やっていました。接待費を消費する為に毎晩飲んでいてこのままだともう死んでしまうなと思って、くたびれてしまってで辞めたんです。
千秋 あ〜、そうですか。
堀 それよりも精神な豊かな事をしたかったのです。経済活動が左の車輪であれば、右側は精神の豊かさの車輪であって、それが二つ回って「人間は生きていてよかったな〜」と思うとおもうのです。それを支えてくれていたのがコレクションでした。ですので、だんだんと精神が豊な方に移っていったのです。でも自分だけで作品を見るだけではなく、多くの人に自分のコレクションを見てほしいという思いから「わ」の会があって、コレクションする事の楽しさを伝えていきたいと思っているのです。コレクションするだけではなく、絵を鑑賞する楽しさを伝えていきたいのです。 |